【祝】サピエ図書館メンテ明け:地味ながら便利に
2022年3月29日 更新
こんにちは。フロッグワークス 代表の岸本です。
当社は視覚障害をもつ方がより便利にパソコンやiPhoneなどのスマホが使えるように支援しております。
今回は、視覚障害者におなじみのサピエ図書館が長期メンテナンスを終えて復活。それを祝して、メンテナンスによって何が変わったのか?便利になったのかをご紹介します。
サピエ図書館って何?という方は、このコラムの一番最後に解説をつけているのでご覧いただければと思います。
サピエ図書館のメンテナンス
今年の3月初めから26日日曜日まで、サピエ図書館ではシステムの入れ替えが行われており、長らく利用できませんでした。長かったですね。最近は世間を騒がせる時事ネタもたくさんあり、本で調べたいと思ってもすぐに利用できないのは不便でした。
ダウンロードはもちろんのこと、自分の借りたい点字図書がどの図書館にあるのかも調べられませんでしたので、普段ITに触れていない方にも影響が大きかったのではないかと思います。
何かのメンテナンスやバージョンアップというと、何が変わったのかよくわからないのに待たされるだけというイメージを抱く方もおられるでしょう。しかし今回のサピエ図書館では重要な、なおかつ便利な機能が追加されました。
スマホやパソコンで図書が聞きやすくなった
最近のパソコン、特にWindows10のパソコンで図書データをダウンロード、解凍しようとすると次のような画面が出ませんか?
これはWindowsの警告画面のひとつで、『このダウンロードしたファイル危なくないですか?どこの馬の骨かわかりませんよ?』と忠告してくれているのです。
日本中の視覚障害者にとってのサピエ図書館は東京タワーや通天閣に匹敵する超有名スポットだと思いますが、世界こっちのIT企業 Microsoft様にとっては残念ながらマイナースポットです。岸本の実家近くにある『日本のへそ公園』くらいマイナーな場所です。
それが、今回のシステム入れ替えによって、この画面が出なくなりました。
『とりあえず聴いてみよう』『SDカードに入れてポータブルプレイヤーで聴こう』といったとき、面倒な操作が必要なくなりました。
iPhoneではないスマホで聴きやすくなった
岸本が個人的に思う改善点はこれです。これまでは、図書データはパソコンでしか解凍することが出来なかったのですが、今後はスマホに入ってるソフトで解凍できるようになりました。
iPhoneではないスマホの場合、サピエ図書館のデータ形式に対応したアプリがほとんどありません。パソコンでないと解凍できない圧縮形式がネックになっているため、一般の音楽再生アプリや解凍アプリも使えません。
今後は、iPhoneでないスマホにも入っている解凍アプリと音楽再生アプリを組み合わせることで再生できます。らくらくスマホや格安スマホ持っている方には朗報でしょう。
どんな音楽アプリが使いやすいかは現在岸本の方でも研究中です。まとまったらこのブログでご紹介したいと思います。
サピエ図書館につながる日常生活用具への影響は?
サピエ図書館側でも、日常生活用具(例えばプレクストークやブレイルセンスなど)で図書が聞けるように細心の注意を払っています。
今回のメンテナンス前から、これらの機器にはそれ専用のデータ形式で転送していたので、影響はありません。よほど古い型式のものでない限り、これまで通り使えるでしょう。
サピエ図書館に対応した日常生活用具は色々あります。
- ブレイズET(携帯型プレイヤー)
- プレクストーク リンクポケット(携帯型プレイヤー)
- プレクストーク PTR3(据え置き型プレイヤー)
- ブレイルセンス シックス(点字情報処理端末)
- ブレイルセンス ポラリスミニ(小型点字情報処理端末)
- ブレイルメモ スマートAir32(点字情報処理端末)
- ブレイルメモ スマートAir16(小型点字情報処理端末)
また、サピエ図書館への接続や図書の管理をしてくれるWindowsパソコン用ソフトもあります
再生機を購入したい・詳しく相談されたい方は
当店では、サピエ図書館に接続できる日常生活用具、視覚障害者に使いやすいパソコンや音声読み上げソフト等の販売、使い方や初期設定のサポートを行っております。
サピエ図書館とは?
サピエ図書館や視覚障害者の図書事情になじみがない方のために、サピエ図書館の概要を説明します。この図書館はインターネット上で開館している図書館です。
全国には障害者が読書をしやすいように支援する図書館(点字図書館もそのひとつ)がありますが、どうしても蔵書が少なく、自分が読みたい本がなかなか借りられないという問題がありました。それを解消するため、全国の点字図書館などをネットワーク化したのがサピエ図書館です。図書館だけでなく、一般の本を点字の本に翻訳する(点訳といいます)ボランティア団体もネットワーク化しています。
パソコンが普及してきた90年代からは、点字図書朗読と書の作成にも活用され、翻訳された図書のデータが手に入りやすくなりました。
データであればダウンロードも簡単です。サピエ図書館もダウンロードに対応しており、サピエ図書館に対応できる日常生活用具やパソコンソフトがあれば、家から一歩も出なくても図書が借りられるようになっています。
それでは今回のコラムはこの辺で失礼させていただきます。