ITコラム:視覚障害者はどのようにパソコンを使うのか
2022年2月9日 更新
こんにちは。
ブラインド IT ヘルパー 代表の岸本です。
当社は、目の見えない方や見えにくい方に最適なパソコンやスマートフォンの販売や、視力に頼らずパソコンを使う際に直面する様々なトラブルの解決をお手伝いさせていただく専門店でございます。
このコラムでは、日々の業務でお客様からいただくご質問や、作業で出会ったトラブルをご紹介し、シェアしていきたいと思います。
今回は、当店のサービスの根幹に関わるご質問『そもそも目が見えないのにパソコンって使えるんですか』にお答えしようと思います。
目が見えないのにパソコンって使えるんですか?
私、岸本は10年以上障害者のITサポートに従事しておりますが、視覚障害者がパソコンを使うというお話をすると、10年前から今に至るまで驚かれる方が一定数いらっしゃいます。そして表題の質問をいただきます。
質問の答えはと言いますと、もちろん目が見えなくても見えにくくてもパソコンは使えます。メールを書いたり、ワードやエクセルで資料を作ったり、同僚の資料を確認したり、電子書籍を読んだり、 YouTubeやNetflixなどのビデオ配信を楽しんだりと様々なことができます。
視覚障害者全員というわけではないのですが、コンピュータープログラマーやウェブサイトの制作者として活躍される方もいらっしゃいます。
じゃあどうやってパソコンの画面が分かるんですか?
目が見えない、見えにくい状態でもパソコンを使うことができるとすると、ではどうやって画面を見ているのかという疑問が生じるでしょう。
その答えは、『画面に近づいたり、ルーペ越しに画面を見る』という方法と、『一般のパソコンに専用のソフトを入れることで画面が分かるようにする』方法の2つです。
専用のソフトを使う場合ですが、ソフトには2種類あって、本や新聞の活字が見えない人が主に使用する『画面読み上げソフト』や『スクリーンリーダー』と呼ばれるものと、ループを使えば活字が見えるという方が主に使用する『画面拡大ソフト』があります。両方を併用するという方もいらっしゃいます。
それぞれの方法について、順番に解説していきたいと思います。
画面に近づいたり、ルーペを使ったりする
画面に近づいたりルーペを使ったりするというのは、一見アナログな方法ですが、専用ソフトが入っていない共用パソコンでも使えたり、専用ソフトの操作方法を覚えなくてもいいというメリットがあるので、人によっては貴重な解決策になります。
ちなみに、当店では画面を見るのに最適な小型ルーペを取り扱っております。
画面を拡大して見やすくする
画面拡大ソフトは、パソコンの画面にルーペや虫眼鏡で映したようなウインドウを表示させるソフトです。目の病気によっては、画面がまぶし過ぎたり、色の変化が分かりにくいという方がいらっしゃるので、大半の画面拡大ソフトではルーペのウインドウで色を変えられるようになっています。
画面の内容を読み上げる
パソコンやスマホの画面には色々な情報が表示されていて複雑に思えますが、実は短い文章と画像がたくさん組み合わさってできているものです。コンピューターの目線に立ってみると、画面に今何が表示されているか、瞬時に把握できます。
理解しやすくするため大雑把に説明すると、画面読み上げソフトとはコンピューターが把握した文章を1行づつ順番に読み上げるというソフトです。視覚障害者は、ソフトが読み上げた合成音声を耳で聞いて理解できるという仕組みです。
画面読み上げソフトの例:PC-Talker NEO Plus
もちろん、 耳で聞いて様々な文章を把握するのには慣れが必要ですし、画面読み上げソフト独特の操作も練習しないといけません。
画面が全く見えないという方の場合は、マウスを使わずにパソコンを操作することにも慣れないといけないでしょう。
専用のソフトには自治体による助成金が降りる場合もある
ここまで、目が見えない方や見えにくい方がどのようにパソコンを使うかご紹介してきました。
専用のソフトを使用する場合、残念ながら需要が少ないこともあってか、一本数万円と気軽に手が出ない価格になっています。こうした事情を考慮して、多くの市区町村では専用ソフトの購入に助成金(日常生活用具給付事業)が適用される場合があります。
※ただし、申請される方の障害の等級や、世帯収入によって適用されるかが変わってきます。
当店では、これは専用ソフトの販売だけでなく、給付申請についての相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
それでは今回のコラムはこの辺で失礼させていただきます。